脂肪が燃焼する仕組みと、筋肉を減らさずに脂肪だけを減らすためのポイント7つ

人間の身体は「脂肪だけをエネルギーとして使う」ということが出来ません。

そもそも、「エネルギーを使う」とは何でしょうか?何となく、身体の中にある脂肪が燃えて、そこからエネルギーが生み出される…みたいなイメージを持っている人が多いかと思いますが、物理的に脂肪が燃焼するということはありません。脂肪は体内でクエン酸回路と呼ばれる代謝経路によって、化学的に分解されます。

「急にそんな難しいことを言われても…」と思う方もいるかと思いますが、大丈夫です。簡単な仕組みだけ知れば、筋肉を減らさずに脂肪を減らすことは可能です。本当に知らなければならないことは、一つしかありません。

一般的に、「減量中は筋肉もある程度減る」のが常識とされていますが、それもまた事実です。しかしそれは、ボディビルダーのように体脂肪率を一桁台まで落とすとか、ライザップのように、2ヶ月で体重を20㎏落とすとか、急激な減量を行うケースにおいてです。無理のない範囲であれば筋肉を減らさずに、健康的に脂肪を減らす方法は存在します

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脂肪が燃焼する仕組み

まず、どういう原理で脂肪が燃焼するのか説明します。ちょっと難しい話なので飛ばしてもOKですが、仕組みを知ると痩せやすさは格段にアップします。

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人間は、筋肉を動かすためにエネルギーを必要とします。脳もエネルギーを必要としますが、まずは筋肉だけに注目してください。

あなたが「手を上げる」「横を向く」「立ち上がる」といった日常的な行動を行う時にも、必ず筋肉が動きます。それどころか、何もせず横になって寝ている時ですら、心臓などの内臓や血管にある筋肉が動いています。ちなみに、前者の意識して動かせる筋肉を随意筋、後者の意識せずとも勝手に動く筋肉を不随意筋と呼びます。

そして、それらの筋肉が動く際には必ず「エネルギー」が消費されます。そのエネルギーは、ATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質です。中学校や高校の授業で出てくるので、名前だけは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。では、そのATPは何から作られるのでしょうか?

これが脂肪燃焼の仕組みにつながります。ここでは細かい話は省きますが、そのATPは脂肪から「も」作られます

この「も」がポイントです。ATPは脂肪からも作られますが、糖(グルコース)からも作られます。糖質、脂質、でお馴染みの糖質です。

仕組みを詳細に説明すると、糖(グルコース)が分解される解糖系と呼ばれる代謝機能において、ATPとピルビン酸などの物質に分解され…と複雑な仕組みがあるのですが、難しいので省きます。大切なのは、ATP(エネルギーの元)を作るために、糖・脂肪どちらも利用されるということです。

ここで、より多く脂肪を使うことが出来れば、脂肪をキッチリ減らして痩せることが出来るということです。

脂肪を多く使うコツ

筋肉を動かすためにはATPが必要で、そのATPは脂肪から「も」作られるということが分かったかと思います。では、その脂肪をより多く使うにはどうしたら良いでしょうか。

答えは、ありきたりですが「有酸素運動」です。そんなことは知ってるという方も多いかと思いますが、本当にあなたの有酸素運動は有酸素運動になっているのでしょうか

人は生きている限り、運動しようとしまいとエネルギーを必要とします。安静時のエネルギーは、諸説ありますが「糖5:脂肪5」とか「糖4:脂肪6」の割合で使われると言われています。しかし、運動中においては、その強度が上がれば上がるほど、糖の使用割合が増えていきます。つまり、脂肪の使用割合が減っていくということです。

ということで、脂肪を多く使うコツは低い強度で運動を行うことなのですが、この運動強度を測る簡単な方法に「トークテスト」と呼ばれる測定方法があります。

トークテストのやり方はとても簡単で、運動中にどの程度会話が出来るかを見ます。運動中に息が切れてしまって会話が辛いようなら、それはもう無酸素運動に近い強度になってしまっています。ある程度余裕をもって会話を続けられるレベルの運動であれば、しっかり有酸素運動の強度で運動が出来ていると考えられます。余裕で会話が出来るレベルの運動を続けることで、脂肪を多く使うことが出来るということです。

ちなみに、息が切れる程度の中強度の運動がダメかと言うとそんなことは無く、中強度の運動は心肺能力を向上させ、脂肪の代謝効率アップに役立ちます。つまり、より高い強度の運動でも脂肪を使う割合を増やせるようになるので、長い目で見れば高いダイエット効果があります。

脂肪を減らそうと思ったら筋肉も減る

脂肪を燃焼させるために正しい有酸素運動が効果的という話をしましたが、有酸素運動だけだと筋肉はだんだんと減っていってしまいます

理由は、筋肉も糖や脂肪と同じくエネルギー源だからです。筋肉は身体を動かす役割をするため、エネルギー源の主原料とはなりませんが、生きている限り、一定程度は常にエネルギー源として分解されています。

ということで、エネルギー消費量を有酸素運動で増やせば、筋肉は必ず落ちていきます。

これを防ぐために必要なのが筋トレによる筋肉量増強です。有酸素運動だけでは減ってしまう筋肉を、筋トレで増やして補おうということです。また、有酸素運動で多少筋肉が減るとしても、その減ってしまう量を出来るだけ小さくするためのコツがあります。

ということで、ここからは筋肉を増やして脂肪を減らすためのポイントを上げていきます。

ポイント1:過度なカロリー制限は禁止

まず最初のポイントですが、過度な食事制限は絶対してはいけません
過度な食事制限をすると、取り返しがつかないくらい筋肉が減ります。結果、基礎代謝が減ったり、運動した際の消費カロリーも減ります。体力も減って運動自体が辛くなってしまうので、相当な精神力が無いと負の連鎖に陥ります。

なお、極端なダイエットで体重を減らした人の8割はリバウンドすると言われています。ということで、過度なカロリー制限は絶対にやめましょう。

まず、どの程度カロリーを制限するか、ですが

こういったサイトで、まずは基礎代謝を計算するのですが、これはあくまでも基礎代謝であって、あなたの1日の消費カロリーではありません。基礎代謝は何もせずにじっとしている状態で消費するカロリー量のことです。そのため、通勤や通学、仕事や学業、家事などをこなしているのであれば、もっと全然多くのカロリーを消費していることになります。そこに運動を加えれば更に増えます。

ということで、ダイエットを試みる人は、基礎代謝にプラスして最低でも500kcalは取ってください。筋トレで筋肉を付けて、有酸素運動で脂肪を燃焼させるためには、多くのエネルギーが必要になります。

「筋肉を落とさず痩せる=運動は必須」なので、それを望むのであれば、過度なカロリー制限は絶対にやってはいけません。

また、必ず「1ヶ月で減らして良い体重の限度は〇〇kg」というのを決めてからスタートしてください。1ヶ月で5%以上の体重を落とすと良くないと言われているので、それを目安にしても良いと思います。

なお、前述した高精度計算サイトなどで運動のカロリー消費量や日常生活のカロリー消費量を細かく計算した方が効果は出やすいですが、しっかり筋トレ・有酸素運動共にこなしながら、暴飲暴食を避けていればそれだけで十分効果は出ます。

ポイント2:筋トレ前後に糖質、タンパク質を摂る

筋肉を落とさず、脂肪だけ落とすためには、筋トレが必須です。
筋トレは筋肉の分解を抑え、更に筋肥大も促進します。脂肪を落とす際に筋肉がある程度減ってしまう以上、筋トレをせずに筋肉をキープするのは不可能です。

その際、脂肪を効率的に落としたいと考え、糖質を控えようと考える方もいるかと思いますが、筋トレ前後には多少の糖質を摂りましょう。筋トレは無酸素運動なので、主に脂肪ではなく糖質をエネルギーとして利用します。身体に糖がある程度無いと高付加の筋トレを行うことが出来ず、効果の出ない緩い筋トレになってしまいます。

また、筋トレ後も効率的にタンパク質の栄養を筋肉に届けるために糖質が必要です。糖質制限を中心に考えている方であっても、筋トレ前後だけは糖質を摂った方が良いです。

筋トレ1~2時間前にバナナ + プロテイン、筋トレ中にBCAAやEAA、筋トレ後にマルトデキストリン(粉飴) + プロテインなど、「ダイエット中なのにカロリー摂り過ぎじゃないの?」と思えるくらい、このタイミングでは糖質・タンパク質を摂って下さい。ここでカロリー摂取をためらうと筋肉が大きくなりません。

なお、筋トレは毎日やる必要はないので、「週に2日とか3日のことだから!」と割り切ると踏ん切りがつきやすいです。

ポイント3:有酸素運動は正しい強度、正しい時間で

前述したように、有酸素運動は「余裕をもって会話が出来る」くらいの負荷で行うものです。ここで、思い切り息切れするような激しい運動を長時間行ってしまうと、脂肪の利用率が下がってしまい、結果的に筋肉の減少が加速してしまいます。(多少息が切れる程度の負荷で数分走って、そこからは早歩き、みたいなのは全然OKです。トータルのバランスでやり過ぎないということです)

また、長時間の有酸素運動は筋肉を減少させます。そのため、30分程度の有酸素運動で留めておくことをおすすめします。

昔は「有酸素運動は運動開始後20分以上経過しないと脂肪が燃えない」などと言われていましたが、そんなことはありません。1分目から普通に燃えます。

ということで、高過ぎない負荷で30分程度を上限に有酸素運動を行いましょう

おまけ:有酸素運動無しで痩せることについて

有酸素運動は痩せるためには必要ないという理論の人もいますが、ダイエットを目的にするのであれば、私は有酸素運動は取り入れた方が良いと思います。

というのも、筋肉を育てるのにはかなりの時間がかかってしまうため、代謝に大きな影響を与えるほどの筋肉をつけるためには、年単位の時間がかかってしまうからです。「よし!3年かけて痩せよう!」という人であれば筋トレのみで代謝を上げて痩せるのもありだと思いますが、ほとんどの人は続けられないでしょう。有酸素運動には即効性があるので、定期的に続けていれば、目に見えて身体は変化していきます。その変化こそがモチベーションにつながるのではないでしょうか。

過度な有酸素運動は身体にマイナス影響も与えますが、強度を適切に保てば、有酸素運動には大きなメリットがあります。そのメリットをあえて手放す必要は無いと、私は考えます。

※個人的な経験から言っても、有酸素運動を取り入れると、痩せ方が目に見えて変わっています

ポイント4:間食を取る

食事から食事の間が4時間以上空かないよう、適度に間食を摂ってください。
4時間で全ての食事が消化吸収され切ってしまうわけではありませんが、空腹は筋肉の分解を促します。

ただ、高カロリーな間食は厳禁です。高タンパクで多少の糖質を含む食品を摂りましょう。

朝食と昼食の間、昼食と夕食の間に、プロテインバーやプロテインドリンクを飲むのがおすすめです。

ポイント5:よく寝る

睡眠不足は絶対厳禁です。
睡眠不足は筋肉の成長を阻害し、更に太りやすい状態を作り出します。

ポイントは、ホルモンの分泌です。

筋トレで傷ついた筋肉は、回復して初めて発達します。その回復に必要なのが睡眠です。

睡眠時にはレム睡眠(深い睡眠)とノンレム睡眠がありますが、筋肉の発達に効果的な成長ホルモンが多く出るのは、レム睡眠の際です。そして、そのレム睡眠は個人差がありますが、平均して睡眠に入ってから90分後くらいに訪れます。その後はノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返します。

つまり、数回のレム睡眠(成長ホルモンが多く分泌される時間)を得るためには、ある程度の時間寝なければならないということです。ある程度の時間寝ることで、効果的に成長ホルモンが分泌され、筋肉の発達につながるということです。

また、睡眠不足になると、満腹感を感じさせるレプチンが減少、食欲を増加させるグレリンが増加、ストレスにより筋肉の分解を促してしまうコルチゾールが増加します。ダイエットにおいては最悪の状態です。もちろん、運動そのものも睡眠不足の状態で行うのは困難でしょう。

睡眠不足はそもそも良くありませんが、ダイエット中であれば、より注意すべきポイントです。

ポイント6:適時見直し

最初に「1ヶ月で減らして良い体重の限度は〇〇kgというのを決めてからスタート」と言いましたが、それは、リバウンドを引き起こすような無茶な痩せ方を防ぐためです。しかし、1ヶ月間しっかり運動を行ったにもかかわらず、全く体脂肪が落ちていないようであれば、それは明らかに運動量不足か、摂取カロリーが多すぎます。

ということで、実際にどれくらいのペースで体重・体脂肪率が落ちているのか、随時確認する必要があります。

想定以上のペースで落ちている場合は、筋肉量が減っていないか注意してください。「筋肉結構減ってるけど、脂肪減ってるからこのまま~」というのは危険です。代謝が落ちることで段々と減りにくくなり、結果的にリバウンドしてしまう可能性が高くなります。

想定以上のペースで落ちているなら、「有酸素運動を減らす」「食事量を増やす」ことを考えましょう。

想定以上に落ちない場合もガッカリする必要はありません。なぜなら、筋肉の増加が想定以上で、そのことにより体重が減っていない可能性もあるからです。

体組成計というのは、それ程正確には出ません。特に家庭用であれば体脂肪率の誤差は相当なものです。私自身、ジムの本格的な体組成計での計測では、自宅の体組成計より約2%程体脂肪率が低く出ています。

ただし、体脂肪率も体重も一向に減っていない場合は注意が必要です。運動量が足りていない、または、なんだかんだでカロリーを摂り過ぎている可能性があります。

計算によって出される1日のカロリー消費量はあくまでも目安です。月に1回は必ず見直しを行い、見直した結果に合わせて、食事量や運動量を調整しましょう。

また、1ヶ月で減らして良い体重の限度は、毎月計算しなおしてください。スタート時100kgで月に5kgまで落としてOKと決めていたとしても、体重が減った後に同じペースで落として行ったら、落とし過ぎになってしまいます。

ポイント7:継続

筋肉を減らさずに脂肪だけを減らすということは、急激に痩せることを諦めることでもあります。
そのため、このダイエット法では、ある程度の長期戦が見込まれます。

減量のペースが遅ければ遅いほど筋肉は落ちにくく、場合によっては筋肉を増量させつつ、脂肪を減少させることも可能になります。しかし、減量のペースが遅いということは、脂肪を減らすのに時間がかかるということです。目標をどこに置くかにもよりますが、人によっては年単位で取り組む必要があります。

リバウンドや健康へのリスクが限りなく低く、場合によってはより太りにくく、より健康になれるダイエット法ですが、忍耐が求められるダイエット法でもあります。

短期的な目標で挑むと、変化の遅さに辛くなると思います。将来的なリスクの軽減や、今後の人生を美しい身体で過ごすなど、長期的な視点で取り組むことをお勧めします。

まとめ

筋肉を減らさずに脂肪だけを減らす方法は

・ある程度しっかり食べる
・筋トレを行う
・有酸素運動の負荷を上げ過ぎない
・空腹時間をあまり作らない
・よく寝る
・常に経過を観察し、改善を続ける
・長期間、継続的に行う

というものです。
それ程特別なことは無く、むしろ身体に良さそうな普通のことばかりです。

このダイエット法は、パーソナルトレーナーより教わったトレーニング法に、現在NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)でフィットネストレーナー資格を勉強中の、私自身の経験を掛け合わせたものです。
私自身が現在も継続しており、最もお勧めできるダイエット法ですが、短期的な成果が出せないという弱点も持っています。

短期間で成果が出せるダイエット法も知ってはいますが、この記事でも何度か触れたように、短期間で痩せられるダイエット法にはある程度のリスクがあり、自己判断で行うのは危険な面もあります。

どうしても短期で痩せたいという方は、パーソナルジムなどで、プロから指導を受けながら行うことをおすすめします。

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