防音室付きの賃貸物件をひたすら探し続けた話

2017-08-17

「部屋で楽器を演奏できる防音室付きの賃貸に住みたい」そう考えて部屋を探しを始めてから、もう7年以上経過しました。

防音室付きの賃貸物件は希少なため賃料が高く、以前はただ眺めるだけでしたが、年月を重ねるごとに収入も増加し、ようやく手が届くところまで来ました。
しかし、本格的に探し始めてみると、思った以上に希望に沿う物件が無く、結局「家を建てる以外に無いのでは」という結論になりつつあります。

同じように防音室付きの賃貸を探している方も居るかと思いますが、同じように苦戦しているかと思います。今日は、そんな方達に、私の7年間の防音物件探しで得た残念な事実を色々とお伝えしたいと思います。

楽器相談は楽器NGと考えるのが正解

一番理解していない人が多いのがこれだと思います。賃貸サイトなどで楽器相談というキーワードをよく見ると思いますが、これは「楽器を演奏しても良い部屋」という意味ではありません。

楽器相談の本当の意味は「近隣住民に迷惑をかけない範囲で、苦情が発生しないように演奏するのであれば、楽器を演奏しても良い」です。当たり前のことを言っているように見えますが、これは楽器可とは全く異なります。

楽器相談の部屋は多くありますが、ほとんどの部屋は防音施工などなされていません。つまり、楽器相談の部屋も、楽器NGの部屋も、防音レベルは変わらないということです。一部防音室が付いていたり、地下室だったりすることもありますが、その場合は別途「防音室」「地下室」と明確に書かれています。

では、なぜ楽器相談なのか。

一般的に「1個建てだから、隣から苦情が来づらいだろう」とか「鉄筋コンクリートだから、そんなにうるさくないだろう」という目測が元になって「楽器相談」となります。そのため、「思ったより近隣に面倒な人が住んでいた」とか「思ったより音漏れした」ですぐにトラブルが発生します。

つまり運です。「楽器相談」に保証はありません。「苦情が来なければそれまでは良いよ、対策とかしてないから苦情すぐ来るかもだけど」というものです。

強いて楽器相談の良さを上げるのであれば、それは「楽器演奏=退去にはならない」という点です。賃貸の契約時には、大抵禁止事項として楽器の演奏が書かれています。明確に禁止事項になっているのであれば、それを破った際は完全に借りた側の過失です。即退去となっても文句は言えません。

楽器演奏可ではないが、楽器演奏して苦情が来てもいきなりは追い出さない。この程度の条件が「楽器相談」ということです。

最初に勘違いされがちな楽器相談について書きましたが、ここから下は全て防音施工のされた「防音室」の話になります。

生ドラム可の物件は、防音物件の中でも100件に1件というレベルの希少性

私のメイン楽器はドラムです。エレドラを持っていたこともありますが、折角なら生ドラムを演奏したいと思い、ドラム可の物件を探したことがあります。

SUUMOで調べたり、防音賃貸を扱う専門の不動産屋などに依頼するだけでなく、知り合いの不動産屋にまで依頼してくまなく探してもらいましたが、結果は2件のみ(東京近郊)。新座市と松戸市に1件づつありましたが、どちらも通勤時間がかかり過ぎるため断念しました。

ネットでの検索はほぼ毎日、数年単位で続けていますが、ドラム可の目ぼしい物件に出会えたのは1回限り。その際は予算不足で契約出来ませんでしたが、今考えれば「ここまで無いのであれば、無理をしてでも決めておくべきだった」と思います。

それくらい、絶望的にドラム可の物件はありません。

エレキギター・エレキベースが演奏出来る物件も超希少

ドラムに関しては想像が付く方も多いと思いますが、エレキギター・ベースもほとんどの防音物件で「お断り」となっています

しかし、エレキ○○というのは、アンプに繋いで初めてまともな音が出る楽器です。何にも接続せずに引いたところで、会話レベルの小さな音がペンペンなるだけです。どう考えても管楽器やアコースティックギターの方が大音量です。

「音量調整さえすれば良いんじゃないの?」と思いますが、残念ながら、明確に「エレキギター・ベースは禁止」と契約書に書かれています。つまり、大家側は「音量関係なく、エレキギター・ベースを利用したら追い出せる」ということです。

どういうことなのか不動産屋に聞いてみました。

要約すると「大家は近隣トラブルとか面倒なことが嫌なので、大きな音が出る可能性があるのであれば、とりあえずNGと考える人が多い」とのこと。最低音量が小鳥のさえずり程度だったとしても、最大音量がジェット機並になる「エレキ系」は避けられがちということのようです。

ただ、個人的には、金管楽器の強烈な音抜けを許容しながら、適度に音量調節出来るエレキギターを避けるというのは、単に大家が楽器のことをよく知らないだけなのではないかと思います。サックスとか凄いのに。

防音室と言っても、防音性能はピンからキリまで

ドラムやエレキ系楽器が難しいのはわかりました。では、声楽やピアノなどであれば問題ないのか。これも「物件による」というのが実情です、なぜなら、防音室の防音性能は「ピンからキリまである」からです。

以前、「エレドラとアコギの練習程度が出来る防音室でも良いから、一回住んでみたい」と、防音性能を落として物件を探したことがあります。その時に不動産屋から紹介されたとある物件で、耳を疑うような説明を受けました。

「この物件は防音室が付いているので楽器OKということになっています。でも、この防音室は性能が低いので、実際は鉄筋コンクリートの普通のマンションくらいと考えてください。普通に演奏したら苦情が来ると思います。」

意味が全く分かりません。防音室を利用する目的は楽器の演奏です。しかし、不動産屋の説明は「防音室があるけど、性能が低いので楽器を演奏したら苦情が来る」です。何のために紹介したのでしょうか。

実は、これは不動産屋が正直で良い例だったのです。「防音室があるから」と賃料を釣り上げておきながら、実際に入居した後「音が大きすぎるため苦情が出ている」と後から注文をつけて、実際は防音室がまともに使えなくなるということがあるそうです。

防音業者と話をした際に聞いた話によると、防音工事にはレベルがあり、最低レベルになると「壁にベニヤを貼って、上から吸音材(スポンジのようなもの)を貼りつけて終わり」なんてこともあるそうです。この程度の工事であれば、工費も数万円になるので、防音物件として家賃を数万上乗せするのには都合が良いのでしょう。

防音物件と言っても、その性能はピンキリです。本当に自分の演奏する楽器の音量に耐えられるのか、しっかり確認しないと酷い目にあうかもしれません。

防音物件はタイミングと運

通常の賃貸物件であれば、気に入った物件を逃したとしても、数ヶ月待てば似たような物件が出てくることも珍しくありません。
しかし、防音物件はその母数が圧倒的に少ないため、一度逃すと数年単位で希望の物件に出会えなくなります。私自身、今でも「あの物件に空きが出たら、料金が上がっていたとしても即申し込む」と決めている物件がありますが、一向に空く気配はありません。似たような物件が作られるという話も聞かないため、待つのであればまた数年は待たなければならないでしょう。

防音物件に限っては「もう少し待てばもっと良いのが出て来るかも」はほとんど通用しません。待っても選択肢が減るだけです。もし、あなたが理想の物件に出会えたのだとしたら、その時が申し込み時です。

私も、いつかまた希望の物件に出会える日を求め、毎日SUUMOの検索欄に「防音室」と打ち込んで検索していますが、ここ数ヶ月は対象物件が減る一方です。あまりに無いので、「2020年以降に家でも建てようか…」と現実逃避していますが、ひょっとしたらまた、突然希望の物件に出会う日が来るのかもしれません。

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