歯医者で聞いた「歯周ポケットの深さは気にしなくていい」理由とは?
歯周病で重要なのは、いかに歯の根元(歯周ポケット)を清潔に保つかです。歯周ポケットに歯垢(食べ物のカスや汚れ)が溜まることで、歯周病は進行します。
私は歯周病で2年ほど歯医者に通院しているのですが、先日「これだけ通ってどの程度良くなっているんだろう?」と気になって歯周ポケットの数値を聞いたところ、「歯周ポケットの深さは気にしなくていい」と言う驚きの返答が…。
歯医者での歯周病の治療は、基本的に歯周ポケットのクリーニングです。毎回行っている治療とは相反するような発言に驚いたのですが、よくよく話を聞いてみて「なるほど」と思った、歯医者さんの歯周ポケットについての話を書いてみたいと思います。
歯周ポケットとは
歯周ポケットとは「歯の根元」と「歯茎」の境目にある溝のことです。健康な人は歯と歯茎の間にあまりスキマがありませんが、歯周病になるとこの溝が深くなります。
歯医者に行くと、この部分に鉄の棒を差し込まれて端から「4.4.3…」など数値を書きとめる事が多くありますが、これは歯周ポケットの深さをカルテに記入しています。
とは言え、数字を聞いている限りでは普通の人にとってはこの数値が良い数値なのか、悪い数値なのか分からないのではないでしょうか?
歯周ポケットの深さはどれくらいが正常?
では歯周ポケットの深さはどれくらいが「正常」なのでしょうか?
1mm~2mm:健康な状態
3mm~4mm:軽度の歯周病
5mm~6mm:中程度の歯周病
7mm以上:重度の歯周病
一般的に言われているのは、このような深さの基準です。歯周ポケット3mm、4mmあたりから「自分は大丈夫かな?」と不安になる方が多いのではないでしょうか?
歯周ポケットの深さ(数値)があてにならない理由
歯周ポケットの深さ(数値)があてにならない理由は「深さの基準が一律でないから」です。
歯医者さんによって「歯周ポケット3mmでも健康、問題なし」と言う人もいれば、「歯周ポケット3mmはもう歯周病」と言う人もいます。どちらも、プロの歯医者さんです。歯周ポケットの深さには「何mmなら正常」「何mmなら要治療」と言う明確な基準がないため、歯医者さんごとに言う事が異なります。そのため、治療を受ける側としても「自分は3mmだけど大丈夫?」「4mmだけど歯医者に行った方がいい?」と迷うことになります。
歯医者さんが歯周ポケットの数値で割り切らない理由は、歯周ポケットの深さだけでなく歯ぐきや歯の状態も総合して判断するからです。歯周ポケットが3mmでも歯ぐきから出血があったり腫れがある場合はすぐに治療が必要ですし、歯周ポケットが4mmでも歯ぐきの状態が良ければ現状維持で良いとなることもあります。一概に歯周ポケットの深さだけで「歯周病だ」「治療が必要だ」と、判断することはできないのです。
ネットの情報で数値だけを見て「自分は何mmだから大丈夫」と自己判断をして治療が遅れるのが、一番危険です。一度歯周病になると進行は早いため、あっと言う間に歯周ポケットは深くなります。そうなると回復させるのは容易ではありません。
なんの病気でもそうですが、一度失われると戻らない歯においては特に「早期発見、早期治療」が何よりの治療の近道となります。歯周ポケットの深さ(数値)だけを見ても、あてになりません。きちんと歯医者さんに総合的な状態を見てもらうことが大切です。
歯周ポケットの深さ(数値)はあまり気にしなくても良い理由
今回、長年通っている歯医者で最初に治療をした時のカルテと、今のカルテを見比べてもらいました。2年も通っていれば歯周ポケットは大分改善されていると思いきや…。1/3ほどの歯が歯周ポケット6mm→4mmと改善していましたが、2/3の歯は同程度にとどまっていました。個人的には全部の歯の歯周ポケットが数mm浅くなっているのを期待していたので、これだけ頑張ってケアしているのにと少し落ち込みました。
ところが、歯医者さんは「歯周ポケットの深さ(数値)はあまり気にしなくても良い」と言います。これは歯周ポケットの仕組みが原因です。
歯周ポケットとは歯と歯茎の隙間のことですが、歯周病の人はこの部分に歯石(歯垢が固くなったもの)が溜まっています。そのため、最初の来院時に歯周ポケットを測るとプローブ(ポケットの深さを測る器具)が歯石に当たって深くまで行かず歯周ポケットの数値が浅くなる人が多いそうです。
そのため、本当の歯周ポケットは深いのに、カルテ上の数値は小さくなってしまいます(実際は7mmなのに5mmなど)。私もまさにそのケースでした。つまり初診の数値はあてにならないと言う事です。
そして、歯医者に通って歯周ポケットをクリーニングすると、今まで歯周ポケットに固まっていた歯石がごっそり取れます。そのため、数値上、歯周ポケットは一気に深くなります(それが本来の深さではありますが)。私も治療途中のカルテを見ると一時的に9mm(!)と言う深さになっている所がありました。
治療を続けていくとクリーニングをした歯周ポケットは徐々に改善されていきますが、また歯石が溜まったり、それを取り除いたりして治療途中は歯周ポケットは一時的に浅くなったり深くなったりします。そう言われてカルテの遍歴を見てみると、確かにコンスタントに浅くなっていくわけではなく、時に深くなり、時に浅くなりと一進一退の数値になっています。そのため、歯医者さんは「歯周ポケットの深さ(数値)はあまり気にしなくても良い」と言ったのです。
もちろん毎日のクリーニングは必須
そもそも、歯周ポケットは一度深くなってしまったら劇的に改善することは少ないそうです。現状を維持できているだけでも充分、とのこと。歯ぐきからの出血箇所が半分くらいになっていたので、その点も改善していると褒められました。
歯周ポケットの「数値」だけを見て、歯周ポケットが改善していないと治療を辞めてしまったり、やり気を無くして自宅ケアを怠ってしまっては本末転倒です。数値はあまり気にせず、歯医者と毎日の自宅ケアを地道にやり続けることが一番の治療法だと歯医者さんと話して感じました。
自宅では電動歯ブラシのソニッケアとジェットウォッシャーを使用していますが、特に歯ぐきの出血にはジェットウォッシャーが効果的だったのかな?と思っています。
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