女性が筋トレで太る可能性はほぼゼロなので安心してください
筋トレブームが盛り上がっていますが、「筋トレ=モリモリマッチョ」みたいなイメージがあるからか、女性の中に「筋トレは太くなるから嫌」という人が一定数います。
確かに、条件を満たせば筋トレで筋肉がモリモリ付くこともあるのですが、痩せることを目的としている人に限って言えば、そんなに筋肉が付くことはありえません。理由は単純で、痩せることを目的とした生活をしている女性の場合、しっかり筋肉を付けるための条件を満たすのはほぼ不可能だからです。
ということで、筋肉太りを避けたい女性が知っておくと便利な、「なぜ女性は筋トレで太ることが出来ないのか」について、解説します。
筋肉をつけるためには食事が重要
身体というのは食事が元になっています。
どれだけ激しい筋トレを行っても、食事の量が少なければ筋肉は増えません。糖質やたんぱく質が不足している場合、筋トレの結果筋肉が減ってしまうことすらあります。
この現象はカタボリック(異化)と呼ばれ、ボディビルダーやパワー系競技の人たちは、このカタボリックを恐れて日々栄養バランスに気を配って生活しています。
では、しっかり筋肉を付けようと思ったらどのくらいの食事量が必要になるのでしょうか?個人差はありますが、最低でも「基礎代謝+生活代謝-摂取カロリー」をプラスにすることが必須になります。使ったカロリーより、取ったカロリーの方が多くなければならないということです。
ところで、ダイエット中のカロリー摂取量は消費カロリー量より多いのでしょうか?そんなことは無いですよね、ダイエット中なら少なくとも「消費カロリー>摂取カロリー」を維持しているはずです。
ということで、ダイエット中の食事内容では、筋肉をしっかり付けることは難しいのです。
女性のテストステロンは男性の5%~10%
「テストステロン」というホルモンを知っていますか?かなり有名なホルモンなので知っている人も多いと思いますが、男性らしい体付き(筋肉など)を作るための働きを持つと考えられているホルモンです。男性らしい体付きを作るホルモンなので、テストステロンを多く持っている人程、筋肉が付きやすく、脂肪が減りやすくなります。
男性は女性の10倍~20倍程度のテストステロンを持っています。そのため、男性は女性に比べてかなり筋肉が付きやすい身体になっています。しかし、そんな男性でも、筋肉の増加が明らかに見て取れるようになるまでには、最短でも半年~1年程度はかかると言われています(腕だけを鍛え続けるとかだと話は別ですが)。
かなり筋肉の付きやすい男性でもそれだけの期間がかかるわけですが、女性が同じくらいの量の筋肉を付けようと思ったら、更に長い期間やトレーニングの量が必要になります。もちろん、前述した食事の調整も、より意識する必要があります。
つまり、ダイエット中の食生活で「筋肉で太くなる」というのは、女性の身体の仕組み上、ほぼ不可能ということです。
なお、RIZAPのCMなどで太った人が2ヶ月で筋肉ムキムキになったように見えるのは、上に付いている脂肪が減って筋肉が見えるようになったというだけです。通常、2ヶ月で脂肪をあれだけ減らせば、同時に筋肉もそれなりに減少します。
筋肉をつけるためには時間が必要
パーソナルジムの基本プランは大抵2ヶ月です。かなり短い期間ですが、一定量痩せるだけであれば、2ヶ月というのは十分な期間とも言えます。何故なら、脂肪はかなりのハイペースで減らすことが可能だからです。
パーソナルジムと言えば、RIZAPのような「筋トレ+食事制限」のイメージがあると思います。また、TVのCMで太っていた人がムキムキになるシーンを見ていると、「筋肉を付ける」というイメージを持っている人もいるでしょう。
しかし、残念ながら2ヶ月で筋肉を沢山付けることは不可能です。なぜなら、筋肉は「筋肉への負荷→栄養を与えて休息→回復」という複数の段階を踏んで始めて増えるものだからです。
「筋トレは週に2日でOK」とか言われるのもそれが理由です。筋肉には休息期間が必要で、作られるまでに時間がかかるということです。
しかし、脂肪は違います。カロリーを消費すればするだけ、栄養が足らなければ足らないだけ、毎日でも脂肪は減ります。なぜなら、脂肪は「蓄えたり、使われたりするもの」だからです。
ダイエットを何ヶ月続けるかは人によると思いますが、パーソナルジムのように2ヶ月とか、長くじっくりやるつもりで半年とかやっても、その期間で増やせる筋肉の量はたかが知れています。
つまり、ダイエットの期間に筋肉が増えすぎてしまうというような心配は必要ないということです。
筋肉付かないのになぜ筋トレを勧めるの?
ダイエットというのは、身体をエネルギー不足に追い込むことで身体の組織(脂肪)を分解させ、脂肪を減らすというものです。これが「痩せる」という原理なのですが、人間の身体はエネルギー不足になると、脂肪以外にも色々な身体の組織を分解します。
結果、ダイエット中(栄養不足状態)には筋肉も一定量減ります。ボディビルダーの人が、筋肉ムキムキでありながら脂肪が少ないのは、筋肉を増やす期間(増量期)を長く取ってしっかり筋肉を増やし、脂肪を減らす期間(減量期)に多少の筋肉減少は覚悟の上で、脂肪をキッチリ減らすということを行っているからです。沢山筋肉を増やしておけば、多少減ってもムキムキを維持出来るというわけです。
しかし、ボディビルダーの人は、筋肉を増やすだけでなく「出来るだけ減らないようにする工夫」も行っています。減量期に脂肪を落とす際、出来るだけ筋肉が減らないように工夫しているということです。
その工夫の一つが筋トレです。人間の身体は「利用しないものは必要ない」と判断してしまうため、筋肉を使っていなければ、減量中に筋肉もドンドン落ちて行きます。しかし、減量中にも出来るだけ筋肉を使っておけば、筋肉の減る量を少なく出来るということです。
ダイエットをするとある程度筋肉が減ってしまうのは避けられませんが、減り過ぎると代謝が落ちて太りやすくなります。太りやすくなれば、ダイエット終了後のリバウンドはまず避けられません。1.2ヶ月の間痩せていればOKという人は別ですが、痩せた状態を保ちたいのであれば、筋トレを行った方が安全ということです。
でも、やりたくなければやらなくても良い
女性がダイエット中に筋肉を増やすのは難しく、仮に増やせたとしても微々たる量になるのが普通です。とは言え「だから筋トレをやりましょう」というわけではありません。
最近の筋トレブームもあって、「ダイエット=筋トレ必須」というイメージがありますが、別に筋トレが嫌なら無理してやらなくても良いと私は思います。
毎日歩くとか、ごはんを茶碗半分にするとか、そういった簡単なことから始めて意識を変えてから、もし出来そうならやれば良いのです。
いきなりハードなトレーニングを前提として痩せることを考えても、始める前に嫌になってしまうのは当たり前のことです。これから登山を始めようと思う人に、いきなりエベレスト登頂を進めても「無理」という印象が先に来てしまうのは当たり前でしょう。出来そうなことからやれば良いのです。
筋トレで太ることは無いので、まずは出来そうなことから始めて「筋トレもやってみようかな?」と思えるようになったらやってみるというのが、一番結果の出やすいやり方だと思います。
独力でやる自信の無い方は、パーソナルジムでマンツーマンレッスンを受け、トレーニング方法を勉強してから挑戦するのも良いでしょう。