3年使って分かったパワーテック製ハーフラックWB-HR16の良い所、悪い所

自宅でトレーニングできるよう、パワーテック製ハーフラック WB-HR16を購入して、ホームジムを構築してから2年が経ちました。
パワーラックやハーフラックの購入レビューはネット上にもありますが、時間が経ってしっかり使ってみてからのレビューは少ないので、ハーフラックを2年使った感想をレビューします。

先に結論を書いておくと「見た目や質感・安定感などでは大満足、ただしセーフティバーは短い」です。
ハーフラックは縦の支柱が1本になってしまう関係上、どんなメーカーでもセーフティバーがある程度短くなってしまうのは仕方ないのですが、やはり「あと5cm長ければ…」という思いがぬぐいきれません。逆に言えば、それ以外は満足しています。買って良かったです。

現在、パワーテックからはWB-HR16のリニューアル版として「WB-HR19」が販売されています。
WB-HR19はWB-HR16に比べて地面からプルアップバーまでの高さが4cm高くなり、新しいJフックが適用されると言うマイナーチェンジが施されていますが本体サイズは同じなので、WB-HR19の購入を検討している方も参考にしてみて下さい。

また、この記事ではパワーテック製ハーフラック特有の内容と、他メーカーでも共通の内容、両方を記載しています。

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ハーフラックのメリット

まずは、「ハーフラックを買ってよかった!」と思っている点から挙げていきます。

景観を損ねず、圧迫感を与えない見た目

何より気に入っているのは「見た目」です。

サイズや設置スペースについては別記事に詳しくまとめましたが、ハーフラックはだいたい4.5畳くらいのスペースがあれば設置可能かと思います。もちろん、広ければ広いほど余裕を持ってトレーニングができます。

設置スペースの詳細についてはコチラ

我が家では、リビングの一角、それも窓際を全面トレーニングスペースにしているため、必然的にハーフラックも「窓の前」に設置することになってしまいました。窓から見える折角の景色も、前にバカでかい圧迫感のあるパワーラックが有っては台無し、ということでハーフラックを選択したのですが、これが大当たりでした。

パワーテック製ハーフラック設置スペース

パワーテック製ハーフラックは縦の支柱が斜めになっているため(多くのハーフラックは支柱が縦に真っ直ぐ)、背面を壁際に設置することで、窓をふさいでしまう箇所を最小限に抑えることが出来ます。床を占有する面積としてはパワーラックと大差ありませんが、圧迫感が全く違います。部屋の景観を崩さず、且つ最も使いやすいリビングに設置出来たのはハーフラックならではだったと思います。

また、特注のブラックカラーを購入できたのも、見た目の満足度に大きくつながっています。ブラックカラーは、マットな質感でかなり高級感があります。私が購入したハーフラックのデフォルトカラーは黄色なので、これが黄色だったら印象はかなり変わったのではないかと思います。黄色は黄色でカッコいいですが、私の家族は「リビングに黄色を置くのはちょっと…」と反対していたので、ブラックが手に入らなかったら購入自体が難しかったと思います。

特注品のブラックカラーを注文する方法はこちらの記事に書きましたが、現在は普通に商品ページでブラックカラーも選択できるようになっています。

意外にしっかりとした強度

スッキリとした見た目とは裏腹に、強度に不安はなく非常に安定感があります。

ハーフラックは支柱の少ないシンプルな作りなので、パワーラックに比べると大分軽いです。パワーテック製のハーフラックの場合、何も乗せていない状態の本体の重量は45kgです。
組み立てた時は左右に引っ張ると揺れる状態だったので、正直「大丈夫か?」と思いましたが、実際は横からの力を加えるようなトレーニングをするわけもなく、また、ハーフラック本体のプレートホルダーにプレートを刺して重量を増加させているので、トレーニング中に不安を感じることは全くありませんもちろん、チンニングバーにぶら下がって思いっきりレッグレイズをしても全く問題ありません。

ハーフラックプレートホルダー

支柱は細く見えますが強度は充分で、たわみもなくガッシリしています。組み立ての記事にも書きましたが、ボルトをかなりキツく締めるため、接続部分のガタツキもなく安心して体重をかけることができます。

組み立てについての記事はコチラ

セーフティスポッター、セーフティキャッチの高さ調節が楽

セーフティースポッターというのは、説明書に書かれているセーフティバーの正式名称です(写真下)。セーフティキャッチはバーベルをひっかけて置いておくところ(写真上)。

セーフティスポッター

これらの高さ調節が、パワーテックのハーフラックは非常に優れています。文章では伝えにくいので、詳細はこちらの組み立て記事を参照して欲しいのですが、セーフティバー・セーフティキャッチをスポッと抜いてはめるだけなので高さ調節の手間は10秒程度。パワーラックよりかなり手軽です。

セーフティバー着脱

これが非常に便利。スクワットとベンチプレスなど、明らかにセットする位置が違うメニューをやる際切り替えが楽というのもありますが、セットした後に「あとちょっと上だったか…」みたいな時に、気軽にセットしなおせるのが最高です。ここで「面倒だからそのままやるか…」となってしまうと、場合によっては危険性も増加しますし、筋肉への効きも変わってきます。

また、私は通常のスクワットが数セット終わった後、セーフティバーをかがめる限界ギリギリのちょっと上の位置に変更し、あえてそこから持ち上げる(一番最初のきついところをやる)というのをやっていますが、簡単に調整できるからこそ、色々なメニューを気軽に出来ているというのを実感しています。

余談ですが、そもそもセーフティバーの高さ調整が不可能なパワーラック・ハーフラックは絶対に買わない方が良いです。セーフティが無いということは、高重量で落としたら「怪我 or 死」なので、パワーラックの意味がありません。絶対に買いなおしになります。

チンニング(懸垂)バーが意外に便利

これは最初は特に期待していなかった部分ですが、パワーテックのハーフラックには上部にチンニングバーが付いてきます。これが非常に便利。

私は背が結構高いため、ハーフラックのチンニングバーに対しては「高さが低くて使い勝手が悪いのでは?」と使えないイメージを持っていましたが、いざ使ってみると、自宅でのトレーニングの幅が大きく広がりました。

チンニングバー

普通の懸垂(チンニング)もそうですが、ハンギングレッグレイズで腹筋を鍛えたり、バーベルシャフトを高めの位置にセットして、そこを支点にハンギングレッグレイズのフォーム矯正をしたりと、自宅だからこそ好き放題に使えるという点も有り、全く使わないつもりだったのに、いつの間にか毎日使うようになっています。

現在、自宅でテレワークで仕事をしているのですが、仕事の合間合間で「そこまでガッツリトレーニングをするつもりはないけど、ちょっと体を動かしたい」みたいな時にも便利です。思いついたら即できる手軽さがいい。

チンニングバーが無いラックも売っていますが、あると意外に使うことになるので、出来ればついているものを買った方が良いと思います。

オプションが豊富

これはパワーテック製ハーフラックの特権です。ハーフラックで出来るトレーニングメニューに満足できなくなった際、オプションパーツを追加してラックを拡張することが出来るようになっています。

「フットプレートアクセサリー」はどうでもいいとして、強力なのが残りの二つ「ラットタワーオプション」と「ディップハンドルバーアタッチメント」です。

フットプレートアクセサリー

ハーフラックを床にボルト止めするためのパーツ。パワーラック、ハーフラック共通。
折角省スペースで運びやすいハーフラックを買ったのに、床に穴をあけてボルト止めをする人はかなりの変わりものだと思うので、ハーフラックに利用する人は少ないと思います。

ディップハンドルバーアタッチメント

ディップス用のハンドルを設置するためのオプションです。セーフティーバーをセットする穴に、ボルトでくっつけるタイプのバー。
ディップスはかなり負荷が高いトレーニングですが、ジムによってはディップススタンドが無いケースも多いので、「普段はジムでマシンを使っているが、自宅ではフリーウェイトや自重トレをじっくりやりたい」という人にもバッチリです。これはちょっと欲しい。

ラットタワーオプション

ラットタワーオプションは、その名の通り、どこのジムにも置かれているラットプルダウンをこのハーフラックで行えるようにするためのパーツです。
ジムにもよりますが、ラットプルダウンは混雑が酷かったり、座り続けて会話を始めてしまうような人も少なくないため(座りやすいから)、ラットプルダウンを独り占め出来るのは魅力。自宅でのラットプルダウンはトレーニーなら誰しも一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。

11万円くらいするため、ハーフラック本体より高い。またφ50mmプレート専用(オリンピックシャフトのプレートサイズ)のため、更にお金がかかると言う夢のオプションパーツです。これ買うならマルチマシン買うよって話もあるとは思いますが…。

パワーテック製ハーフラック WB-HR16のデメリット

次に、買ってから「これはもうちょっと何とかならなかったのか」と思ったポイントです。

セーフティバーが微妙に短い

こう書くと「セーフティバーが短くて使い物にならないなら駄目だな!」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、そうではないです。使い物には全然なります。他の安価なハーフラックやベンチプレススタンド系よりは長いです。図ってみたら18cmありました。

WB-HR16 セーフティー長さ

実際1ヶ月くらい利用してみて、「重量を上げ過ぎなければスクワットならほぼ確実にセーフティ内に収まる(立ち位置にもよるが)」形でやれてますし、ベンチプレスも「ベンチの位置に注意すれば、セーフティから外れることは無い」です。スクワットであえてセーフティギリギリまで落としてから上げて、無理だったらセーフティに落としてしまう、といったようなトレーニングも出来ています。

しかし、「あと5cm長ければ…」と思う瞬間もあります。それはフォームが崩れた時です。「高重量を扱ったスクワットで、ふらついて狙った位置にバーベルが落とせなかった」こんな時は、ハーフラックのセーフティは役に立ちません。上手くセーフティの上に落ちることもあるとは思いますが、落ちないこともあります。当然、上手く落とせなければ怪我をするでしょう。

ジムのようにスタッフが巡回しているわけでもないので、限界ギリギリの重量でのトレーニングは辞めておいた方が無難だと思います

多分、これ以上セーフティバーを伸ばしてしまうと、耐荷重が下がってしまうのでしょう。ラック部の耐荷重は450kgとなっているので無理もないとは思いますが、正直「そこまで高重量扱いたいならフルサイズのパワーラックを買えば良いのでは」と思うので、耐荷重が下がっても良いから、利便性のために長いセーフティバーをオプションで販売して欲しいです。あと5cmでも結構違いますが、15cm長ければ完璧です。

パワーテックWB-HR16のセーフティは、ハーフラックの支柱に空いている穴にセットするだけの簡単なパーツなので、オプションで「セーフティバーロングタイプ」みたいなものを売り出してくれることに期待しています。

セーフティについてはこちらの記事に詳しく書きました。

ラック内の幅が広い

これはメリットであり、デメリットです。

メリットとしては、バーベルのシャフトをかなり幅広く持つことが出来るため、ベンチの際などに胸に効かせやすい持ち方が出来るという点があります。また、幅が広いということは、ラック内に入っている際に窮屈さを感じにくいということでもあります。一般的には、ラック内の幅が広いというのはメリットとして捉えられるでしょう。

しかし、デメリットとして挙げたのには理由があります。それは、「ハーフラックにはコンパクトさを求めている」という部分に真っ向からぶつかってしまうためです。

このラック内の広さにより、ハーフラックとしては横幅を広めに占有してしまい、更に、シャフトも内寸130cm以上というかなり大型のものしか利用できない仕様になっています。この内寸130cm以上のシャフトは数が少なく、レギュラーシャフトではIVANKOのバーベルシャフト(IB-20)しか、使えるシャフトを知りません(少なくとも私がハーフラックを購入した時点では)。このIVANKOのバーベルシャフトは内寸が130cmで全長200cmなのでかなり内寸を多めにとってコンパクトに作られていますが、それでも2mあります。

横幅で「2m+プレートを付けるためのスペース」をハーフラック用に確保出来る方なら全然お勧めですが、「4畳間に余裕を持って置きたいからこそハーフラック」というような人は一度サイズを見直してみる必要があるかもしれません。

まとめ

最後に、メリットとデメリットをまとめてみます。

WB-HR16のメリットパワーテック製はやっぱりカッコイイ
セーフティーバーのつけ外しが楽で便利
省スペースで圧迫感が少ないが、強度はバッチリ
ハーフサイズだが、フリーウェイト系種目は一通り出来る
WB-HR16のデメリットセーフティーバーが惜しい長さ
シャフトの内寸130cm必須は難易度高い(IVANKOのシャフトならいける)

高い買い物でしたが、個人的には購入して2年経った今も非常に満足しています。
現在、自宅でトレーニングをする人が増え、家にホームジムを作りたいと言う人も増えています。コンパクトで作りのしっかりしているWB-HR16は、ホームジムには最適なハーフラックだと思います。

自宅で好きな時間にトレーニングができると言う事は、それだけで絶大な価値があります。「そもそもホームジムってどうなの?」「パワーラックとハーフラックどっちが良いの?」と言う話も書いてみたので、宜しければそちらも併せて読んでみて下さい。

自宅にホームジムを構築することのデメリットについて

パワーラックとハーフラックで迷ったらこちらをどうぞ